茶一郎

エクスカリバーの茶一郎のレビュー・感想・評価

エクスカリバー(1981年製作の映画)
3.6
 暗黒時代、イギリスには統一も国王もなかった。その時代を語る伝説に登場するのは、魔法使いマーリン、最初のイギリス王、そして「王者の剣」である……デデーン!(タイトルドン!)エクスカリバー!!!
 このオープニングに始まる全編のケレン味、これが『エクスカリバー』の魅力です。

 5世紀から6世紀にかけてグレートブリテン島を支配したとされるアーサー王伝説の映画化作品である今作『エクスカリバー』は、もはやファンタジー映画の王道とされる作品ですが、実態は異常にピッカピッカした甲冑を着た男たちがドッタンバッタンしている奇妙な絵面が連なる映画になります。
確かにSFXは今見ると古臭いものの、SFXに頼っていない水辺のシーンは全部イイ!「♪おお、運命の女神よ」に合わせてアーサー王軍が出陣するシーンは今となっては選曲含めてベタだけど、アガらない訳がないです。

兎にも角にも、今作『エクスカリバー』が後世の映画に影響は大きいようで、役者に関して言及するとヘレン・ミレン、リーアム・ニーソン、『ローガン』で痴呆症プロフェッサーXを演じたパトリック・スチュワートらの若い頃の姿を見ることができます。
また、ジョージ・ルーカスが各国の神話を基にして作ったと言われる『スターウォーズ』シリーズですが、今作『エクスカリバー』のストーリーにある愛に溺れて滅びゆく若い王の姿、父親を知らない選ばれし者、父と子の対立などなど今作の影響を強く感じました。つまり、今作は『シスの逆襲』、『新たなる希望』〜『ジェダイの帰還』を一つにしたような映画なのです。

 何より強く感じる違和感の正体は、ファンタジックな描写と、片や足下の悪い戦場で泥だらけになって闘う騎士の妙なリアリズム描写との同居です。そんな騎士たちの姿は泥沼で遊んでいるブタさんさながら、と言ったら失礼かな。
茶一郎

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