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何が彼女をそうさせたかのkazu1961のレビュー・感想・評価

何が彼女をそうさせたか(1930年製作の映画)
3.8
▪️Film Diary————————————————-
🖋本年鑑賞数 :2021-443 再鑑賞
🖋#死ぬまでに観たい映画1001本 ※※※/1001

🖋オーケストラサウンド版で鑑賞。肝心のラストシーンが映像として残っていないのは残念ですが、字幕でのエンディングがさらに想像力を掻き立て、心にグッと刺さります。そしてラストの字幕“何が彼女をそうさせたか”が出た瞬間におおっ!!となってしまいました。

🖋本作、当時異例のロングランを記録した帝国キネマの代表作で、1930年前後に量産された左翼思想を色づけした商業映画、一般に“傾向映画“と呼ばれた作品群の無声映画の傑作と言われています。1930年度のキネマ旬報ベストテンで第1位にランクインし、高い評価も集めました。

🖋内容は貧困に喘ぐ少女・中村すみ子が意地の悪い叔父に預けられ、さらにサーカス、犯罪者の手先、好色漢の餌食と流転し人生の闇へと堕ちていく。彼女が最後に辿り着いたのは。。。という物語です。フィルムもポジも存在しないとされてましたが、1992年にロシアで上映プリントが見つかり修復・復元されました。ただしオープニングと肝心のラストシーンは残っておらず、字幕での説明のみとなっているんですね。

🖋その、前述もしましたがインパクトの大きい字幕のラストは秀逸です。さらに写真家でもある鈴木重吉監督の前衛映画的なカメラワークの数々が本作の映像構成に印象的な効果をもたらしています。

🖋流転し人生の闇に落ちていくすみ子を演じた高津慶子の暗くていつも泣いている薄幸の演技も秀逸。泣きぼくろと八重歯が印象的な可憐な女優でした。出逢う人々が善人のふりをした悪意に満ちた人々が多いこと、こんな人生もあるんですね。。。

😨物語は。。。
14歳の中村すみ子は生活苦から親が自殺して孤児となってしまいます。叔父を頼っていくが逆に曲馬団(サーカス)に売られてしまうようなつらい日々の中、青年新太郎に恋心を抱くものの、団長の小川の虐待に耐え切れずに曲馬団を脱走します。その後琵琶法師長谷川旭光の女中、詐欺師の子分、議員秋山の女中と職を転転として辛酸を舐めていきます。ようようにして再会した新太郎と結ばれるも、生活に追われた二人は切羽詰って心中をはかり、すみ子だけが生き残ってしまうことに。幸せも夫も何もかも失い、すがる思いでたどり着いた教会の施設天使園も園主矢沢の偽善と不正に腐敗しきっていました。そしてすみ子は。。。

▪️Database————————————————-
🎥邦題 :『何が彼女をさうさせたか』
原題(英題):※※※
🎥製作国 :日本
🎥初公開 :1930
日本公開 :1930/02/06
🎥上映時間 :110分
🎥受賞 :※※※
🎥監督(製作):鈴木重吉
脚本 :鈴木重吉
原作 :藤森成吉
音楽 :※※※
出演(声優):高津慶子 、 藤間林太郎 、 小島洋々 、 牧英勝 、 浜田格 、 大野三郎 、 中村翫暁 、 片岡好右衛門 、 海野龍人 、 二條玉子
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