ぱきら

夏への扉のぱきらのレビュー・感想・評価

夏への扉(1981年製作の映画)
2.8
超有名SFと同タイトルですが、全く関係ない違う話です。
フランスの男子校に通う主人公のひと夏の成長。おそらく時代設定は世界大戦以前のようにも見えます。

原作かこのアニメのどちらかを以前に触れているはず。なのでストーリーはほぼ知っていたようです。

少女漫画のアニメ化には理解が薄かったであろう当時、非常にていねいに絵も雰囲気もすくいあげていると思います。
差し込まれるアナログの一枚絵みたいなテイストもとても丁寧。

演出は今見るとべたべたでもありますが、時代を良い意味で感じますし作品にも合致していました。
葉っぱが舞い散るエンディングは、当時としてもレトロなテイストを狙ったようにも見えました。

話はどうだろうなあ。
今改めて見ると、ある年代の洋画テイストに影響を受けた雰囲気だったかも?
でも思春期の焦燥感などはとても出ていると思いました。そしてとても竹宮惠子さんテイスト。
ひと夏の体験としても経緯がさすがに未成年者に対して明確に犯罪と言われるところだよーと思いもしましたが。しかしながら(欧米映画という意味での)洋画においての一ジャンルというかそんなようなテイストでもあります。

ストーリーやキャラクターへの共感などはできないにしても、とにかく絵も雰囲気も原作のタッチを尊重していて、特に当時としたらとても凄いことだっただろうと感じます。
少女漫画をアニメ化することへの理解がとても薄かったことは当時の(現在もかもしれませんが)けして多くはない少女漫画アニメ化の他の作品を見ても分かることです。少女漫画がとにかく理解されていないし興味もリスペクトもない現場で作られたのだろうという少女漫画原作アニメもあります。
その中でこの丁寧さがいかに稀有なことだったか。
少女漫画のアニメ化において、ある種の記念碑でもあるほどの原作尊重度であるかとは、感じました。
ぱきら

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