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スウィート ヒアアフターのhokaのレビュー・感想・評価

スウィート ヒアアフター(1997年製作の映画)
2.9
Black Iceというものがある。
雪の下で温度の上昇、そして下降により視認し難い氷がアスファルトの一部に生成され、特に早朝事故の原因になる現象だ。
スクールバスにABSがあるとも思えないので、制御出来なくなったとしても不思議じゃない。

しかしベテランのドライバー且つ日常的に利用している道ならそれが起こる場所は把握しているだろうし、スリップしてもその対処は大抵出来るはず。

しかしドロレスの運転は注意力が散漫で、運転にフォーカスしていないように見える。
それがこの映画の焦点をぼやかしている。

閉鎖的な町では、人生の活力を得るための刺激が少なく鬱屈するので、不倫や近親相姦などの禁忌に手を出して、暴かれたくない秘密が増える。
もしバレれば、
退屈だけど居心地は良い場所に居場所はなくなるからだ。
しかしあれだけ小規模の町で10数人の子供達の犠牲者が出れば、責任の所在を明らかにするのが普通だと思うが、二人の子を亡くした整備責任者のビリーはそれを嫌う。
自分に嫌疑が掛かるとしてもそこは明らかにしたいと思うのが普通だし、ニコルの父親はニコルの不幸を金に変えたがっているのが丸わかりのクズなので、ニコルが偽証する理由も分かる。

しかし多数の子供の犠牲者を悼むより、自分達の『これからの安寧』が優先される世界観は何やらカナダの冬より薄ら寒い。

ケベックのアーティスト、Jean-Paul Riopelleじゃ無い方のヘタウマ画家Jean Paul Lemieuxの冬の絵の様な映画だった。
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