サラリーマン岡崎

スウィート ヒアアフターのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

スウィート ヒアアフター(1997年製作の映画)
4.6
あのミステリー感をプンプンさせつつ、ミステリーのネタバレは放置し、エンターテイメントにしないアトム・エゴヤンの初期作(褒めてます)。
ずっと見たかった。

「Sweet Hereafter」というラブストーリーみたいなタイトルだけど、
ラストはめちゃくちゃホラーです。
田舎町に潜むホラー。
田舎町のスクールバスの事故でお金を巻き上げられると考えた弁護士が嵌る田舎の闇。
いや、別に誰かが襲われるとか、お化けとか出てくるわけではありません。
基本、ずっとトーンは低く静かです。
でも、その静かだからこそ、荒波を立てずに暮らすことが正義な田舎町。
荒波を立て始めてエゴに向かうもんなら、人の人生を狂わせるなんて厭わない。
大人の視点でその田舎の正義をみると、悪く見えるが、
最後に子供の視点でそれを捉えると、意外と本当の正義にも見えてくる。
憎しみに寄り添うのではなく、憎しみがあっても、平穏に暮らす=Sweet Hereafterことに寄り添いたいというのは人の優しい部分が見られる。
でも、最後に子供がするその行為は必ずしも正しいものではないし、
ラストシーンはとてつもなくホラーに描かれる。

どちらが良いのかわからなくなる…そんな映画だ。
ずっと頭の中で渦が巻いている。