南宮龍八

私のちいさなピアニストの南宮龍八のレビュー・感想・評価

私のちいさなピアニスト(2006年製作の映画)
3.0
オム・ジョンファ主演による感涙のヒューマン・ドラマ。原題は「ホロヴィッツのために」。ホロヴィッツとは主人公が憧れる有名なピアニスト(ヴラジーミル・ホロヴィッツ)の名前である。落ちこぼれのピアノ教師と心を閉ざした少年、そんな社会の隅っこで生きる2人にやがて訪れる人生の転機。改めて本当の幸せとは何かを考えさせられた。ジョンファ嬢演じるピアノ教師ジスはかつての同級生が世界的有名なピアニストになっていることに大きなコンプレックスを感じているのだ。音楽の天才的才能を持ち合わせている少年キョンミン役はシン・ウィジェ。実際にピアニストでもあるらしく劇中素晴らしいピアノ演奏を披露するが、幼少時の交通事故がトラウマとなっていて肝心な時にその実力を発揮できないでいるという設定。彼もまた小さな心の片隅に悩みを抱えているのだ。このウィジェくんの人知れず苦悩する姿にきっと胸が締めつけられることでだろう。ところで、ジスに惚れているピザ屋の店長グァンホ=パク・ヨンウが癒し効果抜群の存在なのも印象深い。いつも大声で笑っていて能天気な青年だが、これが実に絶妙のタイミングで画面に登場するのである。パク・ヨンウ、最近お気に入りの俳優だ。最後は劇中の出演者と一緒になってきっと感動の涙に包まれることだろう。

08/09/21
南宮龍八

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