つるみん

好男好女のつるみんのレビュー・感想・評価

好男好女(1995年製作の映画)
3.5
【悲しみの昨日は過ぎていく、笑顔で明日を迎えよう】

侯孝賢の台湾現代史3部作の完結編。
ではあるが『悲情城市』『戯夢人生』はどこも配信されていなかったので観る事が出来ず…。もちろん本作のみでも鑑賞は可能。

台湾の抗日戦に参加した白色テロの顛末をフィクションで映画化する為に撮影を始める映画人と、女優の生活を通して描く、台湾の50年代。

個人的な感想を言うと、少し難しかった。
主人公リャンジンの人生を、彼女が演じる蒋碧玉と重ねる為に、この二重になっている心理を1発で理解するのは至難の技。もちろんその劇中劇はモノクロで、リャンジンのプライベートはカラーで描くという分かりやすい演出はあるものの、2つの悲しみを同時進行させる事ができる侯孝賢のテクニックには驚く。

また難しい点は、40〜50年代の抗日運動や白色テロを背景をある程度、頭にインプットしていなければいけないという点。置いてけぼりになるシーンが幾つかあって、現代史を知ってる状態で観てみたいなと思った。

それでも理解できるのは、過去と現在の2組の男女を描くことによって、人間の持つ「情」というものは時代を超えたとしても変わらないという(本作では)儚さを描いている。

やっぱり侯孝賢はどの作品も「人」を描くのに長けている。


おまけ
バドミントンをしていたあの体育館みたいなとこ。あれはまるでSF映画に出てきそうなスタジアムで、鯨の腹の中にいるピノキオみたいでもあった。気持ち悪い(笑)「?」って思った方、是非観て確かめて頂きたい。
つるみん

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