Danny

雨の朝巴里に死すのDannyのレビュー・感想・評価

雨の朝巴里に死す(1954年製作の映画)
3.9
【厳しく写実主義な恋愛映画】
すごい。
本格的に男女、経験で見方が変わる。
なんか、結局表面的に
「雨の朝パリに死す」所がフォーカスされ、クズな男が報われた、それだけの話に見えてる人が殆どだと思うが
そんな次元じゃないぞこの映画。


好きになった女性といるために、湧いてくる『お金』へのあっぷあっぷな意識。
幸せなのだが、どこか自信が無い、彼女を追っている自分。

そんな大胆不敵な彼女、慎重な彼から
子どもができ、慎重になる彼女、
やっと軌道に乗り始めた彼。

歯止めの効かないすれ違いと、嫉妬。
怒り混じりの寂しさ、切なさ。
好きなはずなのに互いに傷つけあい始める。

公園や飲み屋…陽気な音楽の中での
心が擦り切れ、抉られる
いわゆる『修羅場』。

気付いたときには遅く、
途轍もない辛さと後悔に苛まされる。
藁にもすがる思いとはこの事、絶望の中での懇願。


それなりに恋愛を経験し、ときに火遊びをし、
また火傷をした人には、
思わず辛さを蒸し返され、目を細めたくなる
そんな映画ではないだろうか。

それぞれに思いがあり、理由があり、
それぞれが怒り、悲しんでいた。

ラストへのトリガーが、姉夫婦の思いであった所は、実に見事であった。

そんなにやわな死に方はしないだろうことは置いといて。

最後に、
エリザベステイラーの素晴らしい笑顔、最高。
Danny

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