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戦うパンチョビラ/戦うパンチョ・ビラのtjZeroのレビュー・感想・評価

3.6
盗賊から革命の英雄へと成り上がった、メキシコの義賊を描く。

タイトルだけ聞くとB級感漂うが、なかなかどうして…。
『荒野の七人』の2/7、ユル・ブリンナーとチャールズ・ブロンソンがメキシコ側で、アメリカからの助っ人である名優ロバート・ミッチャムと絡むというぜいたくな布陣。
音楽も『アラビアのロレンス』や『ドクトル・ジバゴ』の名匠モーリス・ジャールが担当しており、堂々としている。

長所は、画面のひとつひとつに魅力があること。
構図とか撮り方とか工夫されているし、編集も寄った画&引いた画のバランスがよく、観ていて心地がいい。
そのため、革命モノの割には淡々としているんだけど、気持よく観ていられる。
短所は、長所の裏返しでもあるんだけど、あまりにもスムーズに物語が流れていくこと。
薄味に感じられる。もっと引っ掛かりがあってもいい。
ハードなメキシコ料理を期待していたら、スムージーなヘルシー・フードが出て来たようでもある。
血と銃弾という名の、タバスコをもっと振りかけたくなる。

ただしかし、それだけでは終わらないのが本作のユニークな所。
そのひょうひょうとしたムードに身体が慣れてくると、クライマックスなどでは意外とさわやかな友情譚に着地していたりして、これはコレでありかなって思える。後味はワルくない。
この奇妙な味が胃袋に合うヒトには、記憶の片隅に残る作品になりそう。メキシコならこの人…っていうサム・ペキンパーが脚本を書いているのもポイント。
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