宗教的色彩の強い叙事詩だった。
動物と爆撃。自転車のライトに照らされるなか、出産。爆撃の中、セックス。原液をぶち込んだような印象的なシーンが続く。
息子が初めて太陽を見るシーンがいい。メイキングを見たが、ほぼ実写で爆発や動物を扱っててすごい。
戦争の前に動物という圧倒的に客観的な存在を置くことで、人間の愚かしさを表現している。
それに対して鳴り止むことのない音楽が気持ちいい。東京スカパラダイスオーケストラに囲まれた宴。
ありとあらゆる悲しみや喜びを超えた先にあるラストシーンの宗教体験。三途の川を超えた先の祭り。黒猫は雑巾のように扱われ、猿は同居して、牛は共に三途の川を渡る。
現実の苦しみは「死」によってしか解放されないのだろうか?
同じ時期に撮影されたぽんぽこの宝船のシーンを見ているようだった。あれも阿弥陀様の招く船に乗り、極楽浄土に死出の旅にでる。どうしようも無い現実を前に狸たちは踊念仏に狂う。
人間は、どうしようもなくなったとき踊り・歌い・祈るのだろうか。