このレビューはネタバレを含みます
あの時代をあの場所で共有していた人にしか分からない何か、熱気や愛、悲しみが狂気として表れていた。金管の音楽隊がいつも後ろにいて、狂気のマーチが繰り広げられる。常人には作れない映画。
ディストピアな世界観をファンタジーやコメディ調に仕立てて救いを求めているのかもしれないが、登場人物たちは簡単には救われない。
彼らはとにかくお金がかかっていそうなセットをすべて爆破し、殺したい人を好きに殺す。彼らが本当に祖国というものを愛していたかは疑問である。だが、祖国に暮らす人々を愛し、英雄たる自分を愛していたことは確かだと思う。
太陽を浴びたヨヴァンの顔が忘れられない。終盤の水中の場面とラストの宴会場面も、なんとも言えず良かった。国が消えるということはこういうことなんだな。
あと、ベンツはスポンサーか何かなの・・・?
尺的にも内容的にもすでに十分なボリュームのある映画だが、完全版がどうなっているのか恐ろしい。