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アンダーグラウンドのkirika75のレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦下のセルビア。
パルチザン仲間のマルコとクロの町もドイツの空爆で廃墟となり、マルコは町の人々とナチスに拷問にかけられたクロを地下室に避難させる。地下の世界で作られた武器を売り捌いていたマルコは、人々に終戦を知らせず、地下の世界では地上はまだ戦争中だと信じて20年もの歳月が経っていた。

親友クロと地下の人々を欺き続け、新政府で大統領接近にまで上り詰めたマルコだったが、ユーゴスラビアは今度は内線で再び戦禍に見舞われ、国はとうとう崩壊する。

公開時、傑作との評判が高く、カンヌ映画祭パルム・ドールも受賞した(個人的にはカンヌの評価はまったく信じてないけど)本作。製作・公開から30年も経つとは!

ユーゴスラビアの歴史をよく知らないので、作品に込められた思いやメタファーを理解できていないかもしれないが、ラテンアメリカの魔術的リアリズムを思わせる超現実的で絢爛豪華な映像美、歴史の虚実を織り交ぜた物語展開で、知らなくても十分楽しめる作品になっている。

エネルギッシュで物悲しい力作だが、役者とキャラクターについては一言。
マルコ役とクロ役の役者の顔が似ていて区別がつきづらい、と思うのは自分だけだろうか。口髭や髪型を変えるとかしてくれたらよかったのに。
また、マルコの壮大な嘘と裏切りの原因となるヒロイン・ナタリアが、確かに美人でスタイルもよいが(若い頃の宮沢りえ似)、うっとりするほど妖しい美しさ、とまではいかず、崇高さもなく、尻軽で身勝手だが徹底した悪女とまでもいかず、マルコが彼女を得るためにそこまでしたという説得力が下がってしまっている気がする。

主役二人が似通っているのはやはりユーゴスラビアやセルビアの何かを象徴しているのかもしれないし、ナタリアの中途半端さやその名前(イタリアに似ている
?)も意味があるのに私がわかっていないだけなのかもしれないが…。

それにしても、ユーゴスラビアの歴史は複雑で悲劇的だ。
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