大好きです。もう何回観たことか。
ユーゴスラビアを、まるで遥か昔に存在していた国としているような語り口で描いているところに、監督の国に対する想いが感じられ、また何とも言えない寂寥感が込み上げてくる。
いつか、何十年か経った時に、おそらく人々はかつてユーゴスラビアという国があって…という話をするだろう。そんな時に観るべき映画だと言えるのではないか。
一過性の娯楽としてだけではなく、最初からずっと残り続けていくものを作るという想いを持って制作に着手しているからこその一大スペクタクルであり、叙情詩なのだと思う。そんな想いでもって作られた映画はそうはないはず。だからすごい。
最後の戦争のシーンはクロアチア紛争だろうか。かつての同志であるマルコとクロが両者に分かれて争い、イヴァンが兄マルコを杖で殴るシーンはユーゴスラビアの歴史を分かりやすく表しており、イヴァンをそこに導いた地下通路の使い方も上手いと思う。
そして、亡国の歴史を陽気に彩る歌と踊りが胸を打つ。クストリッツァの映画は皆そうだけど、あの陽気さの前では少々現実離れしていても、そんなことは大した問題ではないのだ。
そして、ミリャナ・ヤコヴィッチの美貌よ。最初に観た時から思ってたけど、やっぱり宮沢りえにしか見えない。