せみ多論

チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜のせみ多論のレビュー・感想・評価

4.1
あるヴァイオリニストが自殺を決意するに至るまでの経緯と、またその理由、つまりは彼のそれまでの人生を、ほんのちょっぴりのコメディータッチと不思議な雰囲気を持って描いた作品。そして、とっても切ない気持ちになる作品。
何よりもこの作品で素敵なのが終盤、主人公と、彼の若き日の愛しき人の人生が、走馬灯の様に流れていくシーン。こんなに美しくて切ないシーンって中々ないと思います。正直なところ、このシーンだけで持ってかれちゃったと言っても良いくらい印象的。
登場人物の愛情や想いが、ほんの少しのきっかけや運命の悪戯ですれ違っていってしまう、これが本当に切なくて、それをまた、それぞれの視点から描いているので、一層色々な思いを巡らせてしまう。この辺の演出は見事というしかないのでは。
大好きな映画の一つです。
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