ベルベー

スターダスト・メモリーのベルベーのレビュー・感想・評価

スターダスト・メモリー(1980年製作の映画)
2.9
臆面もなく「8 1/2」をまんまやったウディ・アレン。演出に関してもフェリーニとベルイマン、彼が影響を公言している二大監督をかなりまんまパク…標榜している。彼の作品の中で最もオリジナリティに欠ける一本だと思うが、彼のオリジンがよくわかる一本でもある。オリジナリティとオリジンは違うんだな、という話。

例によって女優が皆美しく撮られている。シャーロット・ランプリングもジェシカ・ハーパーも、監督自身が彼女に恋しているのでは、と思わせるような撮り方。フェリーニがジュリエッタ・マシーナを撮るような、レオス・カラックスがビノシュを撮るような「恋」を不特定多数の女優に向けられるウディ・アレン。人間としては大いに問題ありな気がするが、映画監督としては立派な武器だと思う。

アレン一番の問題は、本作のように「8 1/2」を標榜した映画を作るでは飽き足らず、自分自身をグイド化させちまったことか。クズだと自覚した上で、人を傷つけると理解した上で好き放題やって、それによって得られる喜劇も悲劇も享受しようとした。悲劇による自己憐憫もまた好きな人間なんだろうし。そう思うと、真偽はさておき、彼が今置かれている状況は身から出た錆…なんだろうな。
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