jun

俺は、君のためにこそ死ににいくのjunのレビュー・感想・評価

3.7
戦争映画を二つ。

太平洋戦争末期、鹿児島・知覧飛行場から飛び立つ若き特攻隊員たち。この映画は彼らが母のように慕っていた富屋食堂の女将・鳥濱トメさんの視点で描かれた群像劇です。

突撃の日を前にある青年が口にした言葉。
『死ぬってどういうことかな…』

『明日出撃だ』と言われても実感湧かないよね。自分が明日の今頃にはもうこの世にいないなんて考えられるわけがない。
そんな現実か夢かもわからないような状態で突撃していった人もたくさんいたのではないかと思うとやるせない思いが込み上げてきた。

自分が忘れられてしまうかもしれない恐怖に駆られながら“その時”を待つとはどんな精神状態なのか平和な時代に生きる私には到底想像もつきません。

生きて帰れば《特攻くずれ》と罵倒され
身命をなげうって突撃した者には《犬死にだった》と好き勝手言い放つ人達。
いつの時代も関係ない人間が残酷に牙を向く…形は変わっても今も昔も人間の本質は変わらないのだなと思いました。


今から死ににいく我が子に親が『よろしくお願いします』と頭を下げるなんて…
本当は行かないでくれと言いたかっただろうし、抱きしめたかっただろうな…
でもそれが許されない時代。
やっぱりそんなのはおかしいと思う。
もう二度とこんな悲しい歴史を作ってはいけない。


映画として観た時にもっと一人一人にフォーカスしてじっくり観たかったのが本音ですが、若き日の窪塚洋介さん、まだ無名だった中村倫也(友也の頃)さんが出演されていて特に印象に残りました。

エンドロールのB'zとともに流れる実際の特攻隊員の方たちの白黒写真。
戦争さえなければこの人たちにも当たり前に未来があったんだと思うと、たくさんの尊い命の上に私たちの今があるのだということを決して忘れてはならないなと思いました。
jun

jun