映画のなかの雨のシーンは断絶が描かれていて、いつも胸に切ない気持ちが押し寄せる。本作はひときわ切なくてやるせなくてぎゅっと力が入ってしまった。
長屋で繰り広げられる掛け合いがおかしくてくすくすとさせ…
次々と場面の主役が入れ替わっていく構成が集中力を要求されて気持ち良い。リマスターだからか「水に浮かぶ紙風船」がアマプラよりも段違いでクリアに見える。やはり至高なのは2階からの飛び降りワンショットと、…
>>続きを読む始まりはまるで落語。チャキチャキした江戸っ子の軽妙な掛け合いが面白い。長屋の町人達の野次馬根性、噂話、人の不幸も酒の肴。通夜の席で大騒ぎ。
長屋の気っ風のいい町人と愚直な浪人との対比や、一人金儲け…
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昭和12年製作、天才と言われつつも28歳という若さで戦地で病気のために亡くなった山中貞雄監督。初鑑賞です。
5年のキャリアで26本撮ったものの現存するのはたったの3本。今作は遺作になります。「人情…
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貧乏長屋の浪人海野が髪結いの新三を匿うお話。長屋は二間あって極貧ではないらしい。髪結新三が元とのこと。背負い羅宇屋がどんなか見れて嬉しいです。
追従笑いが身に沁みて、心まで尾羽打ち枯らしたような浪…
粋なチンピラと愛睦まじい武士夫婦を中心に貧乏長屋を主たる舞台とした群像劇。
武士、商人、ヤクザ、大家、職人等の江戸の人々が派手なアクションも無く動いていく異色な時代劇でもあります。
冒頭の浪人首吊り…
人情が紙風船のように虚空に消える悲劇。武士の志と町人の意地がどしゃ降りの雨の中で砕かれ、二人の物語が悲劇に収斂する。
土塀越しの江戸の青空のカットが、ラストの闇の深さを際立たせる。
奥行を活かした長…