はぐれ

人情紙風船のはぐれのレビュー・感想・評価

人情紙風船(1937年製作の映画)
4.9
作品全体を覆う陰鬱な闇のオーラ。首吊り自殺に始まり心中で終わる。救いなんて1ミリもない。大戦へと突き進む当時の日本の空気を瞬間密封したかのような肌感。それなのに長屋の住人は生き生きと躍動している。まるで落語のそれを目の当たりにしているかのよう。

戦前から戦中へ。江戸の名残りも微かにあったあの時代じゃなきゃ撮れなかった作品なんだなあと改めて噛みしめる。
はぐれ

はぐれ