オレンジマン

人情紙風船のオレンジマンのレビュー・感想・評価

人情紙風船(1937年製作の映画)
3.9
誰でもいつかは抱える「行き場のない、形容しがたい、自分でもよくわからない」気持ちが、紙風船の中に吹き込まれる。
しかしその空気は重く、人々がなんとかして突き上げたり(お祭り騒ぎをしたり)、吹き上げたり(嘘をついてごまかしたり)しなければ浮かび上がることはない。
ただそうやって浮かび上がった紙風船も所詮は紙風船、いつかは落ちてきてしまう。
定期的に突き上げ吹き上げようとするが、それも限度がある。紙風船はいつかはしぼんでしまう。
また新しい紙風船、またその次の紙風船、どんだけ吹き込んでも収まることのない、内面にどんよりと溜まりきった言い得ぬ気持ち。
最後は、その気持ち、その気持ちを抱えた精神とともに、紙風船もまた水に流されて行くしかないのであろうか。
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