元祖スパイ映画。
150分版。
映像が進化しすぎ。ラングのここまでの作品と比べてストーリーテリングの幅が格段に広がった。そしてこれからも無限に裾野を広げられそうな。進化が止まりそうにない勢い。ほんと語彙力失う凄さ。
だいたい重要な機密書類が盗まれることから始まるね。『ドクトル・マブゼ』『月世界の女』に次いでこれもか。
『TENET』の絵画保管庫のシーンのアイデアはここから来たのかななんて思った。
あと俺の見間違いかもしれないけどとあるシーンのストリートの壁に『メトロポリス』のポスター一面にびっしりと貼ってあったよね?
この人なかなかメタいことするんだなあと思って少し笑った。
序盤は登場人物一挙ご紹介って感じでややスローペースに感じたけど、そこから面白くなる。
ただこういう言い方をしてはアレだけど、『ドクトル・マブゼ』の焼き直し感がすごい。ドクトル・マブゼ役だった人が本作でも悪役を演じているし、役どころもかなり似ているというか実質一緒だからどのキャラに焦点を当たるかが違うという意味以外においては物語としての革新性や新しさみたいなものは感じられなかった。その分映像の迫力は大変満足のいくもので、個人的には内容よりも映像を楽しむべき作品だと思った。
調べたら『メトロポリス』で作った大赤字を返すために制作費を制限された中で作ったらしいから、思い通りに動きずらかったのかもしれないけど、どうせ似たようなものになってしまうのであればまた違うアプローチの物語が見てみたかった。
とはいえいい作品だったから見る価値はある。元祖スパイ映画ながらに政治的な部分が現代の作品でもここまでなかなか出来ないってくらいに作り込まれていて、そこら辺は面白かった。