悪魔の毒々クチビル

ゴースト・ハンターズの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ゴースト・ハンターズ(1986年製作の映画)
4.3
反射神経です

トラックの運転手と友人がチャイナタウンで何故か世界を救う為に不死身のおじさん率いる軍団と戦う羽目になったお話。


ジョン・カーペンター監督による馬鹿不思議アクションホラー映画です。
カーペンターと言えば「ハロウィン」や「遊星からの物体X」等々、後続のジャンル映画に多大な影響を及ぼした作品を手掛けた名監督ですよね。
そんな彼が莫大な予算を注ぎ込んで製作したハチャメチャ映画が今作。
ヘンテコな妖怪、ヘンテコなキャラ、ヘンテコな世界観を迷監督カーペンターが手掛ければほら、最高に楽しい作品の出来上がり。

主人公ジャックはお馴染みカート・ラッセル。
今までは渋い役柄が多かったけど今回はタフガイっぽいお茶目おじさんです。
そもそも主人公なのにそんなに戦うモチベーション高くないよね。
太古より生き永らえてきた謎のじいさんロー・パンが生きた肉体を得る為にジャックの友人の婚約者を拐ってしまったので、どちらかと言うと戦いに懸ける想いは友人ワンの方が全然上な訳で。戦闘力もワンの方が断然上だし。ジャックは完全に巻き込まれただけですから。

ホラー要素よりもアクション要素が多くて、とにかく色々な人達が勝手に戦っています。銃撃戦あり格闘あり魔術バトルもありと何でもやっていました。
後半はワイヤーもガッツリ導入して何だか楽しいよ。

そして劇中起こる出来事が何から何までよく分からないのも今作の魅力だったりします。
まぁロー・パン含む魔法使いみたいな奴らの世界観は「はぁそうなんですか」と、取り敢えず呑み込むとして。
ただどのタイミングでジャックは指名手配されたのか、何故ビームの撃ち合いかと思ったら互いのビームから人が出て来てもっさりバトルし始めたのか、何故あの人はパンパンに膨れ上がって破裂したのか、終盤戦を前に「見えないものも見えるようになる魔法の薬」を飲んだジャック達には何が見えていたのかetc.と言った疑問の数々は初めて観てから10年以上経っていますが未だによく分からないです。

イケオジ全盛期のカート・ラッセルが終盤勝手に頭打って気絶したり、何かしようとする度に敵に邪魔されたりと主人公とは思えないくらい役に立っていないのも面白い。
ジャックの銃を「イヤーッ!!」と素手で破壊した敵の幹部がそのまま爆弾放られて「イヤーッ!!」って吹っ飛んでいく所もクソ面白い。
最終的にはキスしたときの口紅が付いたまま呆気なく決着を着けちゃう、ある意味空気の読めない主人公でした。でもそれが良いよね。

幹部3人組の登場シーンが無駄に格好良かったし、何度か出て来るクリーチャーもコメディ的なキモさが際立つビジュアルなので、怖くはないけど印象的でした。

たまにはふざけたいし、どうせふざけるなら全力で馬鹿騒ぎしよう!とカーペンターが思ったのかは謎ですが、結果的にアホで壮大な内容にただただ困わk…圧倒される超楽しい作品に仕上がってるからやっぱカーペンターって偉大なんだよな。