なすび

ルードヴィヒ/神々の黄昏のなすびのネタバレレビュー・内容・結末

ルードヴィヒ/神々の黄昏(1972年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ひさしぶりに二度目見てしまった。

今回は、終始ロミーシュナイダーに惹きつけられていた。彼女がルートヴィヒの元凶のはじまりだったのではないか。もちろんそれ以前にルートヴィヒの夢見がちで現実離れした好みもあったのだろうが、エリザベートへの初恋があんな形で突然幕を下ろされるとは。残酷さも彼女の性格であり魅力の一部なのだが(まるでナスターシャ・フィリポヴナのようだ)。二人はもっとお互いを支え合える友人同士になれていたのではないだろうか、せっかくエリザベートという似た者同士を見つけたのに、いやそれ故にか、ルートヴィヒのバランスは崩れていく。望んでも得られないものを愛してしまったルートヴィヒ。その後も心の安静を得られることはない。愛に破れ、もがくままに、失ったものの亡霊を求め続けるが、得られるのは堕落した欲望を満たすもののみ。

ひさしぶりに訪ねてきたエリザベートに会いたいのに、今の堕落した醜い自分の姿では会えないと、あわてて病気のふりをするルートヴィヒが切ない。
私もエリザベートの側でいられたらいいのか、いやきっとエリザベートにも彼女なりの辛さがあったのだろう。

ヘルムートバーガーはやっぱりルートヴィヒでこそ。黒髪に碧い目がよく映える。人を寄せ付けないあの山の高い眉も。

少し歯並びの悪い大佐が最後までルートヴィヒに助言をしていたのに救えなかったのがまた悲しい。
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