ちか

ルードヴィヒ/神々の黄昏のちかのレビュー・感想・評価

ルードヴィヒ/神々の黄昏(1972年製作の映画)
4.8
終始、ヘルムートバーガーの美貌に触れられる作品。
後半から精神を病み、「狂王」と呼ばれるに至る、容姿も含めすさんでゆく姿すら、むしろ狂気を帯びるほどに、彼は美しくなってゆく。
唯物主義的な幸福ではなく、芸術による精神の幸福を国民に分け与える、素晴らしい国王になるのだと誓うファーストシーンから、4時間にも及ぶ没落の日々、そしてラストシーンを見終わった時、彼の半生が走馬灯のように観客達の中で蘇り、感動を呼ぶ。彼の行き過ぎな純粋さやエリザベートへの一途さ、セクシュアリティへの苦悶、ワーグナーや弟に見せた優しさが、私たちに十分すぎる共感の余地を与えるから。
長いけど、この映画を最後まで見た人は、映画という芸術表現の底知れぬ奥深さにガッチリと心を掴まれ、もっと触れたいと思うようになるんじゃないかと思う。
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