竜平

映画に愛をこめて アメリカの夜の竜平のレビュー・感想・評価

3.7
架空の映画「パメラを紹介します」を製作・撮影中。果たして無事完成に至るのか、という感じの話。フランソワ・トリュフォーによるフランス産の内幕映画。

一本のとある映画の製作過程、裏側を追っていく内容。トリュフォー自身も監督役で自ら出演してたりして。映画撮影に於いての様々なトラブル、滞りなく進行させるための裏方たちの努力、更に出演俳優たちのあれこれ、男女の事情などなどドタバタ模様をわりと淡々と描いていく。この雰囲気というのはまぁフランス映画特有のものと言えるのかも。撮影のシーンなんかはドキュメント番組、はたまたコントを見てるかのような楽しさ。とくに情緒不安定な女優の演技シーン、NG連発してしまうあたりで笑う。あと未練タラタラの俳優がいたり物事に対して意外とサッパリしてるスタッフがいたり、登場人物それぞれの性格が際立ってるのもおもしろい。いいものを作るための情熱やら執念やら、人物からしっかり感じれるのがまた素敵。主演女優役の女優ジャクリーン・ビセット、めちゃ美人。

後半、もうちょいで完成かと思いきや畳み掛けるようにトラブルが起きていくもんでまた笑う。ここもどこか淡々と飄々と描かれたりしてシュール感が漂う。いやしかし実際の撮影現場でもこんだけあたふたドタバタしてしまうもんなのかな、非常に興味深いところ。個人的にはデイミアン・チャゼルの『バビロン』を見て撮影風景などから今作を思い出し、めちゃくちゃ久しぶりに鑑賞。初めて今作を見た時はまだ10代で、前述したようになんだか全体的に淡々としてるしで眠気と戦ってしまった記憶、なんだけど、改めて見てその楽しさに気づく。

ちなみにタイトルの『アメリカの夜』は邦題でテキトーにそう名付けられてるわけではなくフランス語の原題『La Nuit américaine』(どう発音するのかは知らない)の和訳、でこれというのが夜のシーンを昼間に撮る所謂「擬似夜景」の撮影技法のこと。ハリウッドから広まったことによる名称で、また昔の映画ではよく使われていた方法なんだとか。うん、なんか、ナイスタイトル。
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