ひろ

映画に愛をこめて アメリカの夜のひろのレビュー・感想・評価

5.0
監督・脚本フランソワ・トリュフォーによって製作された1973年のフランス映画

第46回アカデミー外国語映画賞を受賞した

心の底から大好きな映画。映画を撮影している現場を映画にしているのが面白いし、その現場の監督役をトリュフォー自身が演じてるんだから最高だ。問題だらけの現場で、撮影がなかなかスムーズに進まない。映画製作自体が、映画みたいなものだと言わんばかりだ。撮影している映画がベタな作品なだけに、現場の方の面白さが際立っている。

「アメリカの夜」というのは、昼間に夜のシーンを撮影するアメリカの技法のこと。その他にもトリュフォーが見聞きした映画製作のエピソードなどが盛り込まれていて、タイトルのように映画への愛が込められた作品に仕上がっている。映画への愛を感じて感動したし、ますます映画が好きになった。

俳優たちが俳優役で出演しているのも面白い。主演女優ジュリーを演じた主演女優ジャクリーン・ビセット。イギリスの女優だけどフランス映画にもよく出演している女優で、若き日の姿は美しいの一言。トリュフォー長編デビュー作「大人は判ってくれない」でデビューしたジャン=ピエール・レオも、すっかり個性的な役者に成長している。

1997年の「ブギーナイツ」っていう映画が、まんまこの映画の手法を模倣した作品で、ポルノ業界版「アメリカの夜」なんて呼ばれてるので、見比べてもらいたい。映画が好きで好きでたまらない。そんな映画好きなら、間違いなく楽しめる作品。ゴダールなんかの作品は、映画の専門的な知識がないと楽しめないけど、ヌーヴェルヴァーグの監督の中でも、トリュフォーの作品は、いい意味で敷居が低い。トリュフォーの映画への愛を受け止めてもらいたい。
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