半兵衛

反逆の報酬の半兵衛のレビュー・感想・評価

反逆の報酬(1973年製作の映画)
3.5
日活ムードアクションを牽引した石原裕次郎と、日活ニューアクションを先導した渡哲也、二人の個性を見事に活かした大人向けのアクション映画。同時にこれ以降テレビを主戦場にする二人にとって、これが日活時代の集大成になった感がある。

作品全体としては劇画のような大味な雰囲気で、恐喝行為を働く渡哲也と組織に復讐しようとする石原裕次郎が後半手を組んで組織に歯向かうという展開も日活映画的で新味はない。ただ所々に感じる渡哲也が小池朝雄を車に拉致して暴走運転するくだりや、石原裕次郎と渡哲也の格闘シーンなどアナーキーだがスタイリッシュなアクションはくせになる。

恐喝屋を演じる渡哲也の普段は気のいいあんちゃんだが、ふとした瞬間に狂暴になる悪党演技が最高。鰐淵晴子をビンタして犯したり、乱暴な運転(絶対スタッフ逮捕されたはず)をかましたりとひたすら劇画チックな悪事が展開されるが渡哲也がやると様になるのはさすがスターといったところか。こういうとき弟だとチンピラっぽくなるのに。

途中から主役となって話に割り込む石原裕次郎の存在感も素晴らしいし、悪党のボスを演じる成田三樹夫もカッコいい。

ただ澤田幸弘監督はデビューからそうだったんだけれど、女性を描くのが本当に下手なのね。高峰三枝子と裕次郎のムードな雰囲気はよかったけれど、鰐淵晴子と夏純子という見事な素材を活かしきれず単なるヒロイン扱いで終わっているのが残念かも。

すっとぼけた終わりかたは結構好きかも、ああいうとぼけた表情が決まっているのはさすがスター。
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