月うさぎ

ネバーランドの月うさぎのレビュー・感想・評価

ネバーランド(2004年製作の映画)
4.4
美しい映画でした。観終わって、ほ~~っとためいきがでる感じ。
ジョニー・デップがまず美しいです。ほかの登場人物も。風景も。映像も。
情感があって、人物の奥行きも感じさせます。
例えば地味なシーンですが、新作上演の初日の度に駆けつけてくれる老夫婦のエピソードには胸にぐっと迫るものがあり、大好きです。
劇場に孤児たちを招待して観客を子供の気分に巻き込むっていいう演出もいいですね~。
冒頭の哀しい気持ちを雨で表現していたのも意表をつかれ素敵だと思いました。
映画っぽく無い表現が結構出てきて面白い。リアルの追求の映画と異なり、観るもののイマジネーションを喚起させる演出や美術なのですね。
現代の演劇とは異なる当時の舞台演劇とは、という世界を少し感じ取れると思います。

なにげにダスティン・ホフマンが出てるのも、おっ!って思いました。

ジェイムズ・バリーという実在の劇作家の人生と、永遠の名作童話「ピーター・パン」の誕生秘話を描いた作品です。
子供らしい考え方を拒むピーターという少年に出会い、心を動かされたバリーは、その兄弟の少年たちとその母親を愛する気持ちから「ピーター・パン」を生み出しました。一方、実はジェイムズ自身が少年性を愛していて、未だにそこから抜け出せない大人なのだということも示唆されていて、陰影の深い話になっています。
妻の現実的な「夢」についていけないジェイムズは、大人の「妻」からも逃避するようになります。
彼が見つめているのは自分の夢とそれを壊される恐れのないピュアな人間関係だけなのでした。病に侵されたピーターの母も、ジェイムズと同じ種類の人間です。理想や夢を現実と引き換えに差し出すことを拒む人種だという点で。

このあたりのバリーの生き方には見る人の立場によっていろいろな感想なり批判なりが生まれることと思います。

バリーの妻の身になると、大人にならない夫にちょっとイラっとするかもしれません。
演劇に没頭してほったらかされた上、よその子どもやその妻と超仲良し。なんて仕打ちをされた日には。平静でいるほうが無理。って思います。病と言っていますが綺麗すぎて全然病気にみえないし。こんなに母が綺麗だと恋愛にみえますよ。実際どうだったかは知りませんが。


しかし、私がこの映画の一番好きな部分は「ピーター・パン」そのものなんです。
劇中劇として映画において役者たちが演ずるピーター・パンの演劇の楽しさ、女優の変身の様、舞台ならではの無邪気なユーモア。
ネバーランドが部屋からはみ出して庭園へと広がっていくシーンも美しさに息を吞みました。

信じさえすれば、いつでもネバーランドに行けるのだ


子役の演技の評価も高い作品です。
ネバーランドでピーターを演じたフレディ・ハイモア君はこの作品をきっかけに「チャーリーとチョコレート工場」でジョニー・デップとの再演を果たすことになりました。チョコレート工場では素直な子どもらしい子どもを生き生き演じていましたね。うまいなぁ。

この映画を観て、ジョニー・デップってイギリス人だったかしら?って確認してしまいました。もし、誰かにそういわれたら信じてました。英国紳士っぽく見えました。スコットランド訛りを練習して喋っているらしいです。
とっても品の良いハンサムで美しい少年のようなジョニー・デップが堪能できます。
ある意味貴重じゃないでしょうか。
いつものジョニデじゃない~~!
なのに。海賊とインディアンに扮した時だけは。( ´艸`)
月うさぎ

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