湯っ子

ひゃくはちの湯っ子のレビュー・感想・評価

ひゃくはち(2008年製作の映画)
4.0
前に観たのは、長男が小6くらいの時、
小学生の頃から野球大好きな彼と、高校野球ってこんな感じなんだなって、面白く観た(教育上よろしくないところもあったけど)。

長男の高校野球を見届けた後の今、この映画を観たらまた違うのかなと思って観てみたら…まあリアルなこと。
実際にやっている練習内容、ランニング、そしてエキストラも経験者だろうな。
デフォルメされてはいるが、ああいうヤクザみたいな監督、いるいる!スカウトマンや記者、いるいる!先輩の後輩へのイジリ方、チンピラ風のコーチ、いるいる!野球界隈の人々が本当に良く描かれてる。

球児たちも個性豊かで、どの子も、長男のチームメイトにこんな子いたなあって当てはめることができた。

ジーンとくるエピソードはいくつかあるけど、
私が特に好きだったのは、野球を諦めると決めた記録員の子に、アオノ君とコバヤシ君が花を持たせてあげるところ。
普段、話したりしない間柄なのに、お互いへのリスペクトがあり、優しさがある。
それは、やはり同じチームで、同じグランドで、汗と涙をたくさん流したからだろう。

こらこら!って思ったのは、酒タバコもだけど、サイン盗みの偵察。あれは、あんなことさせる大人が悪い。
結局、偵察は役に立たなくて、コバヤシ君の名推理が勝利を呼ぶんだけど。

長男は1年の秋からレギュラーに入れてもらったが、2年の夏から、怪我で半年間離脱した。
この映画の彼らとはまた違う状況だけど、彼にはまた彼だけの葛藤があったのだと思う。
長男とチームを追いかけて、たくさんの試合や練習風景を観た。その中で、彼らの涙を見ることもあった。
その涙には、彼らにしかわからない葛藤が隠されていたんだろうな、とあらためて思った。

長男はまだ野球を続けている。
高校までは当たり前のようにレギュラーを取ってきた彼だけど、今いるチームでは、初めてレギュラーに入れるか入れないか、みたいな経験をしているようだ。それは彼にとって良い経験になるんだろうと思う。

そして、ここしばらくのコロナ禍での大会中止などに悔し涙を流した球児たちも、その経験が悔しいだけの経験に終わらず、彼らの今後の人生において糧となることを、心から祈ります。
湯っ子

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