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コースト・ガードの440のレビュー・感想・評価

コースト・ガード(2001年製作の映画)
4.7
真っ直ぐだった人間がサイコパスになる瞬間

「ダーマー」や「ジョーカー」でも感じた「人との関わり合いで徐々に歯車が噛み合わなくなっていく」様をこの作品でも味わえます。
ただ上の2作と違うのは、すごく身近に感じる事。
アジアが舞台だからなのか分からないんだけど観ていて危機感を感じます。

韓流シネマフェスティバルというイベント上映で昔鑑賞してから久々の再鑑賞。

悪い方へ話を持っていく感じがマジ絶妙。
観ているこっちが嫌だなぁという方向へどんどん引っ張られていく。
やっぱりキム・ギドクという人は人間の汚い所を包み隠さず曝け出す天才だと思う。
でも確実に変態。
どの作品もベスト級に好き。

南北境界線に近い海岸で警備をする真面目なカン。
夜更けの警備中に海岸でエッチしていた男性を射殺してしまう。
その事件を境におかしくなっていくカン。
そしてエッチの相手だった女の子もおかしくなり大混乱に巻き込んでいくお話。

なんでそんな描写にする?っていうくらい予想の上を行く演出。
被害者女性自ら犯人を指差しする描写はこの作品のクライマックス。
あの痛々しさはなかなか味わえないくらい爽快。
キム・ギドクのフィルモグラフィーの中ではドぎつくグロな所は軽めではあるけど精神的に来る。

狂気。
魚を海岸で散歩させる所やチャン・ドンゴンが歌うシーンはほんと磁場が狂ってる感じがして気持ち悪い。
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