いろどり

カラヴァッジョ 天才画家の光と影のいろどりのレビュー・感想・評価

3.5
映画そのものがカラヴァッジョの絵画のような美しさ。さすが撮影は巨匠ヴィットリオ・ストラーロ。光と影を使いこなした映像があまりに美しくて、作中出てくる多数のカラヴァッジョの絵と区別がつかないほど。

ストラーロは映画に専念する前に、カラヴァッジョも学んでいたようで、今作はバロック期の天才を現代のカラバッジョが描く、ストラーロの集大成といえるのかもしれない。

カラバッジョは地名で、本名はミケランジェロというのだとは知らなかった。心が洗われるような美しい絵を描く人が品行方正とは限らない。光と影のコントラストが特徴的な絵を体現するような、明暗ある人生を歩んだカラヴァッジョ。喧嘩上等、何度も逮捕され殺人まで犯す経歴の持ち主なのでどんな荒くれ者として描かれているのだろうと思ったけど、そこまで粗野に描かれていない。

ペストで亡くした母親への憧憬を胸に閉じ込め、娼婦を愛し聖人のモデルにしたり、自らをゴリアテとして描く人間味のあるカラヴァッジョがそこにいた。火刑や斬首といった過激な描写もあるものの、美しすぎる映像とチェンバロの音色でルネッサンスの世界にタイムスリップしたかのような感覚を味わえる。2度ほど寝落ちしかけたけど、「バリーリンドン」の映像が好きな人ならストラーロの圧倒的な映像に酔いしれることができる。

DVDの冒頭にホラー映画の予告編があるので注意が必要(怖い😫)
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