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あげまんのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

あげまん(1990年製作の映画)
4.0
捨て子のナヨコ(宮本信子)は中学から芸者の置屋に預けられ、18歳の時に62歳の僧侶多聞院に水揚げされた。
水揚げの仲介役を務めたのは一ツ橋銀行頭取の千々岩(大滝秀治)だった。
ナヨコを妾にしてから多聞院の位はどんどん上がる。3年後、多聞院が亡くなった際、ナヨコは多聞院の母から“あんたはあげまんだ”と告げられる。10年後、ナヨコは千々岩の秘書として働いていた。ある朝、満員電車の中で一ツ橋銀行の支店長をしている鈴木主水(津川雅彦)を痴漢と間違え喧嘩となり、それを見ていたコンピューター見合い会社の寿から声をかけられる。
独り身の長かったナヨコは寿の会社で相手を探してもらい、政界を裏で操る大物の大倉善武老人を紹介される。
大倉はすぐにナヨコのあげまん具合を見抜き、彼女をすっかり気に入る。
鈴木は一ツ橋銀行の得意先の娘瑛子と婚約していたが、最近は仕事も女性関係も全く上手くいかず、ついには瑛子を怒らせ別れてしまう。
得意先の瑛子の父親を怒らせたことで、鈴木は千々岩の怒りを買い左遷の危機を迎える。
しかし、ナヨコのおかげで左遷を免れ、2人は急接近する。1年後、ナヨコの支えで仕事も女性関係も順風満帆となった鈴木は、ついに千々岩から取締役への昇進を告げられる。
しかし、その条件は瑛子と復縁することであり、鈴木はその条件をのみ瑛子とよりを戻す。
それを知ったナヨコは深く傷つき、大倉のところへ行く。ナヨコは大倉の購入した置屋で再び芸者を始め、2人は楽しく暮らし始める。
大倉は、現在の総理が“10億円で総理の席を譲ってもいい”と言っていることを、次期総理の椅子を狙う鶴丸に話す。鶴丸は大倉に金の融通を頼み、大倉は承知する。千々岩がゲイであることを知っていた大倉は、ゲイクラブで褌男と抱擁する千々岩の写真を手に入れ、それをネタに千々岩を強請り、帳簿に残らない形で鶴丸に10億円融資するよう告げる。そして、この件を一任されたのが鈴木であった。鈴木は鶴丸の接待のお座敷で、ナヨコと久しぶりに再会する。そこには鶴丸の次の総理と言われる犬飼政調会長も来ていた。犬飼はナヨコを気に入り、しつこく言い寄る。その晩、ナヨコは鈴木から“よりを戻したい”と言われるが断る。そんな中、鶴丸が倒れ、犬飼は鶴丸が肝臓ガンの末期で長くないことを知る。犬飼はナヨコを譲ることを条件に大倉へ鶴丸の秘密を教え、ナヨコをホテルで手篭めにする。ナヨコは自分を売った大倉に怒りをぶつけるが、大倉は発作を起こす。
死期を悟った大倉は、ナヨコに10億の金になる鶴丸の念書を託して病院へ搬送される。
鶴丸が次期総理になれないと鈴木の立場が危なくなることを察したナヨコは、念書を持って鶴丸を訪れ、鶴丸に末期ガンのことを教えてやる。観念した鶴丸はナヨコに10億を返すことを約束し、資金集めのパーティの最中に死ぬ。
鶴丸の死によって融資の責任をすべて押し付けられた鈴木は、千々岩と瑛子に追い詰められ、警察に突き出されそうになっていた。
そこへナヨコが10億円の札束を引きずりながらやってきて、鈴木のピンチを救う。
伊丹十三監督が、男社会の中で翻弄されながらたくましく生きる女性の生きざまを描くヒューマンコメディ映画。
政治家や銀行家など権力者の庇護を受けたり、翻弄されながらたくましく良心に恥じない生き方をしようとするヒロイン・ナヨコの生きざまは80年代はかっこよかったけど、最近の世相には合わない気がする。
ヒューマンコメディとしては、面白かった。
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