ペイン

まわり道のペインのレビュー・感想・評価

まわり道(1974年製作の映画)
4.3
ナスターシャ・キンスキーの女優デビュー作。ヴィム・ヴェンダースのロードムービー三部作の二作目。唯一のカラー作品で評価は低め。

しかしこの垢抜けなさ具合が心地よくもある。気心知れた友人とダラダラ何をするでもなく休日を過ごしているような心地いい感覚にも近い。

また、迷える作家の彷徨い映画としてもヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の近年の傑作『読まれなかった小説』を思い出したりもした。原作はゲーテ。村上春樹っぽいと評している人もいてうっすら理解出来る。

“まだ不安から脱却したくない”という、劇中のある登場人物の言葉が刺さった。不安になることや孤独であることをネガティブとしてしか捉えられないことへの憤り。その登場人物は母親に“男は弱音を吐かずにたくましくあれ”的なことを言っていたので、それについての反発でもあろう。

久々に見たヴェンダース映画、なんとも私の皮膚感覚に合うものだった。次は『さすらい』でも観るかな。
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