きゅうげん

エルム街の悪夢のきゅうげんのレビュー・感想・評価

エルム街の悪夢(2010年製作の映画)
3.2
2000年代〜2010年代の第二次スプラッター・ブームのなかで一大潮流となったマイケル・ベイ主導の名作ホラー映画リメイク運動のひとつ。
子供世代の被害と親世代の報復というフレディのオリジンを前景化することによって、旧シリーズよりも硬派なホラーになっています。

ただ、脚本をシリアスにし撮影をダークにすることが、必ずしも『エルム街』本来の恐ろしさの再発見に通じるわけではないと思います。
もちろんシュールはギャグと表裏一体ではありますが、しかし『エルム街』はそもそも“夢”がテーマであるので、突飛な悪夢イメージや皮肉なユーモア、悪趣味残酷表現を抑制する必要はないはずです。
だって、それが『エルム街』のリアリティラインなんですから。
(それでいて、思い出したかのように過去作オマージュをしたり急転直下なオチをつけたりするから、公開当時ファンから不興を買ったのでは……)
長寿作品のリメイクにあって、フレディ・クルーガー事件という分かりきった前情報の映像化דシリーズあるある”として期待する視覚的サプライズ感のなさ、これが本作最大の欠陥だと思います。
あと単純に、大筋の展開も細かな会話劇も全部かったるい。

ブレイク直前のルーニー・マーラが主演という意外な発見もありましたが、でも彼女はスクリーム・クイーン系の女優さんじゃないしなぁ。
それにまぁジャッキー・アール・ヘイリーの“ガチ感”はヤバイですが、でもやっぱりフレディはあの引目鉤鼻じゃないと。ねぇ……?