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散り行く花のkuuのレビュー・感想・評価

散り行く花(1919年製作の映画)
4.0
『散り行く花』
原題Broken Blossoms or The Yellow Man and the Girl
製作年1919年。上映時間74分。
完璧なサイレント米国映画。

当時26歳のリリアン・ギッシュ(1893-1993)が、15歳の薄幸な少女を演じる、異人種間(ロリコン風味失礼🙇‍♂️)ラブandドメスティック・バイオレンス劇。
日本なら二階堂ふみや広瀬アリスが15歳の薄幸な少女を演じるかぁチョイ無理があるが。。。

中国人青年チェン・ハン(イエロウ・マン。映画のオープニングにハッキリ書いてあるので差別意識はありませんので):リチャード・バーセルメスは、大聖仏陀に深く帰依し、 姿は俗でも心は仏の慈悲に溢れていた。
或日、上海の街路で仲裁に入ったのだが、殴り倒されてしまった。
血の気の荒いアングロサクソン族には仏陀の慈悲をもって済度する必要があるとチェン・ハンは、一路ロンドンへと布教にやって来る。
だが、現実は惨たらしくもこの若い精神主義者の夢を粉砕してしまったのだ。
酒色を愛し、阿片に耽溺し、賭博を日常とする事で、チェン・ハンは昔の純粋さを全く失ってしまっていた。。。

ルーシー(リリアン・ギッシュ)は悲しい少女やなぁ。
父親のバロウズは酒と女に目がない凶暴なボクサーで、何かにつけても乱暴で、彼女は辛い思いをしとる。
ロンドン場末。
波止場のドカチンの棄てる錫紙を拾って生計を立てているチェン・ハンが営む雑貨店の飾り窓を覗くことがルーシーの楽しみやった。
ルーシーの姿を見掛けることで、チェン・ハンもまた、少しずつ良心を取り戻すが。。。

唐突に美しく感動的な街角の場面から始まる。
最後まで絶品の風景を見せ続ける完璧な無声映画。
リリアンは弱々しげで、その斜視ぎみの容貌やし、運命に翻弄され、深い悲しみのなか、虚空を見つめる可憐な少女が似合うし、その表情に吸い寄せられるよう。
『カメラが彼女の瞳に恋をした』
って当時云われたそうすが、ホンマにそうやなぁ。
せや、身長は164cmらしいから小柄ちゃうなぁ小柄に感じてたけど。
相手役のリチャード・バーセルメスの異様な猫背ぶりと、ヨタヨタした動き味がある。
作中、彼が自宅2階に少女を匿う場面はクライマックスの一つを形成する。
一方で、意味なくつえぇボクサーの父ちゃんの憂さ晴らしに鞭を打たれる少女は観てる側を惹きつける。
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