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散り行く花のhasseのレビュー・感想・評価

散り行く花(1919年製作の映画)
4.3
新年一発目に、サイレント期の傑作を鑑賞。
中国から布教にきたものの阿片と博打に溺れうだつのあがらない青年と、ボクサーの父親からDVを受けている少女が出会う。青年は少女に純愛を捧げ、少女は初めて人から優しい扱いを受けひとときの安らぎを得る。

まず、二人の現状を描く序、二人の出会いを描く破、二人の別れわ描く急をゆるやかな、しかし無駄のない緊密なテンポで90分にまとめあげた構成がシンプルでとても美しい。

そして、リリアン・ギッシュ(当時25,6歳くらい)の名演。幸薄そうな表情で、猫背でうつむき加減に町をうろつく姿でルーシーという人間のこれまでの人生が一発でわかる。
虐げられる少女の儚さ、それでも懸命に生きようとするいじらしさ、一方で男を虜にする妖艶さ、可憐さ、美しさという複数の要素を、ルーシーというキャラクターに吹き込んで立体的に演じてみせている。

このあたりが映画を芸術へと押し上げたといわれる所以だろうか。
あとは、顔のクローズアップとかも当時にしては斬新か。

ドナルド・クリスプ演じる父親がどうにも『アンタッチャブル』のデニーロに見えて最後まで憎みきれなかった。。。
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