湯っ子

疑惑の湯っ子のレビュー・感想・評価

疑惑(1982年製作の映画)
4.0
二大女優の競演。

桃井かおりのオニクマ…いや凄いわ。
鬼で熊だもん。よくこの名前をつけたもんだ。
金の亡者で利己的で暴力的な鬼の部分と、欲望の赴くままに行動する獣(熊)の部分を合わせ持つ、最強悪女。
だけど、心の内がすぐ顔に出ちゃうから、不安そうな表情とか心細い様子が見えちゃうと、なんか急にかわいらしく見えちゃうのが、また恐ろしい。
そんな作用をしっかり利用して、証人にオニクマに有利な証言をさせちゃう、岩下志麻演じる弁護士の律子。こちらも凄い。
登場シーンの面会室。後ろを向いた状態から振り返った時、あの氷のように冷たい美貌が現れる…もうあの御尊顔を一目見ただけで、この律子という女性に説得力がある。この演出、岩下志麻という類まれな女優の存在感を存分に活かしていると思う。
裁判の時の冷徹な様子、球磨子と二人きりの時の尊大な様子、素晴らしく恐ろしいが、どう見てももうアーンしてあげるような年頃じゃない子供にプリンか何か?食べさせてあげてるところは笑った。

一番の見どころは、終盤の二人の一騎打ち。これは語るまでもない…両者一歩も引かない名勝負!
いや〜、痺れた。

この映画を最後まで観て思ったのは、裁判で全てを裁くことはできないし、裁判での判決が全てではないということ。
律子の別れた夫と子供のくだりについても、それが示唆されているようだった。
湯っ子

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