やたらと面白かったのは、間違いなく主演の桃井かおりと岩下志麻のおかげ。
クラブのママ役でちらっと出演する山田五十鈴も良かった。タイプの違う大女優それぞれの胆力が満喫できました。
世間では、この主人公球磨子(何この名前!)みたいな女を血祭りに上げると気持ちいいでしょうね。
最上級に嫌な女でありながら一方で天晴れと思わせる桃井かおり。
夫と離婚後、小さな娘は父親が引き取っているということで、母性のない女のように噂されても、いざという時は娘にとって最善な道(と、本人は選択した)を毅然と歩む女弁護士岩下志摩。
現代の日本にこんな存在感の女優っているでしょうか?
桃井かおりが岩下志麻の白スーツに赤ワインを浴びせかけるシーンは、宮尾登美子原作の五社監督映画によくあるアクロバット的な女同士の取っ組み合いよりも、こちらの方がよっぽど息を呑みます。