Kamiyo

疑惑のKamiyoのレビュー・感想・評価

疑惑(1982年製作の映画)
4.2
やはりこの1982年の野村芳太郎監督作は素晴らしい。
数ある松本清張映画でも傑作。
ミステリーとしても法廷映画としても醍醐味たっぷりで見応えあるが、

2人の女性の対比が興味深い。
桃井かおり 被告(容疑者)・鬼塚球磨子
岩下志麻  国選弁護士   ・佐原律子
球磨子は高飛車・高慢.悪女.毒婦の典型のような
律子は弁護士として社会的地位も名声もある、いわゆるエリート
スト-リ-は
富山県の新港埠頭で、猛スピードで走ってきた白い乗用車が、岸壁から転落する。二人乗っていたうち、女は助かり、男は死ぬ。死んだのは、地元の資産家、白河酒造の社長・白河福太郎(仲谷昇)で、助かったのは、娘くらいの若い妻・球磨子(桃井かおり)であった。
福太郎は、東京・新宿のキャバレーで知り合った球磨子と再婚していた。傷害などで前科四犯の球磨子は欲の深い悪女であり、地元での評判は悪く、白河家の人々や社員からも嫌われていた。事故後、警察が調べたところ、福太郎に、受取り総額3億1千万円の生命保険が掛けられており、受取人は球磨子であることが判明する

それを岩下志麻演じる女弁護士が一つ一つ事件の謎を紐解いていく過程が面白い。明らかに殺人事件だと思っていたものが、裁判が進むに連れて、確信が疑惑に変わっていく感覚がよかったです。殺人事件か、球磨子が嘘をついてるだけなのか、誰にも分からないまま物語が進行していくのが興味深い。

ラスト近く、球磨子と律子とのやりとりは圧巻だ。
律子に対し、感情的で衝動的だが無罪を勝ち取った球磨子が挑発するシーンだ。
「私はね、どんな悪くたってね、みっともなくたってね、人なんかかまってられないのよ。だけど、あたしはあたしを好きよ。あんたさあ、自分のこと好きだって言える? 言えないっしょ? かわいそうな人ね。」と言い。
律子からワインをぶっかけられる。
球磨子弁護への抗議電話にも涼しい顔で意に介さなかった律子だがこれはこたえただろう。
だが律子はプライドを保ち冷静さを欠かなかった。
何か深い部分でこの二人は似た者同士なのかもしれないなあと思った。

被疑者及び弁護士と検察の争いではなく、被疑者桃井かおり・vs弁護士・岩下志麻との対決という構図の法廷心理劇だった。

岩下志麻がとても綺麗
桃井かおりもすごいね、演技
Kamiyo

Kamiyo