移民や貧困といった窮屈な視点からの描写を厭わず、劇的な展開もあまり持たせないまま淡々と生き様を綴っていくという、名匠ダルデンヌ兄弟の面目躍如といった感じの作品。父の言いなりになって行動していた青年に徐々に自分で考える姿勢が芽生えてくる様子を、ある事件をトリガーにしながら親子の会話、ある女性との会話などの積み重ねで「決して明示しないのに観ていればだいたいわかる」形で示している。きっちり締まって終了、という感じでもないのもこの監督らしいところだが(笑)、まあでもその過程をしっかり見せるという意味合いではそこは重要ではないのかもしれない。