れーちゃん

イゴールの約束のれーちゃんのレビュー・感想・評価

イゴールの約束(1996年製作の映画)
4.4
とんでもなく素晴らしい映画だった。
主人公イゴールはまだ15歳と言う年齢にも関わらず、父親ロジェのいいなりとなり、不法滞在の移民たちを対象とした悪徳労働を手伝わされる。
ある日その移民の1人が、屋根から落ち、事故に遭う。その移民は、「妻と子供を頼む」とだけイゴールに言い残し、死んでしまう。
ロジェは問題を隠そうと、イゴールを使い死体を隠すことに。

イゴールは死んだ移民の男との約束を守ろうと、父親に反発し妻と子を守ろうと家を飛び出すが、移民の妻子はどこに行っても目をつけられ、苦しむことに。。

移民の妻子を守ろうとする純粋な姿と、子供のイゴールにはできることが少なすぎるという虚しさ、また、父親ロジェの支配に幼いながらも悩むイゴールの純粋さに涙する。

ダルデンヌ兄弟はこうして移民という存在、救いようが無いイゴールのような世の中から見て見ぬふりされてしまう存在を捉え、映し出す。
同時に、観客である私たちは見ていることしかできないのだ。という無力さを突きつける。

ただ何もできないだろ!という意味ではなく、あなたの知らない世界では、こんなことが起きているのだと知って欲しいのだ。
わたしにはそんなメッセージに感じた。
れーちゃん

れーちゃん