このレビューはネタバレを含みます
10年くらい前に、原作を読んだ記憶がある。
南木佳士は、医師であり作家。
ご自身の体験が投影された物語。
医師と作家の夫婦は、南木氏の分身なのだろう。
おうめさんの言葉の一つ一つが、素直で重みがあって、説得力がある。
プーシキンの引用や、胃がんを患い天命が近づく先生の言葉、美智子医師のパニック障害に至るまでの様々な葛藤、
淡々と語られるけど、重くて心に響く。
信州の山里の四季折々の風景が、綺麗で心が洗われるようだった。
渓流釣りのシーン、子供たちと長縄飛びする場面、先生が亡くなる日に村の人々か集まり静かに看取るシーン(こんな亡くなり方が一番羨ましい 見事な逝き方)
なんて、穏やかで美しいんだろう。
今を大事に精一杯生きる。
素敵な作品。