佐藤克巳

君に幸福を センチメンタル・ボーイの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

4.0
「男ありて」の様な骨っぽい映画を得意とする丸山誠治監督が起用された松山善三脚本の舟木一夫、内藤洋子主演の「その人は昔」に続く青春歌謡映画の佳作。和倉温泉を同郷とする二人だが、有名ホテルのお嬢さんで大学生の内藤と芸者の息子でケーキ屋職人の舟木が東京で恋仲になったが、境遇の違いから進んで身を引く舟木のパターンは不動。それは現実、自分の経験も含め世の常。内藤が未来志向で説得しても、一貫して揺るがない舟木は、世間の常識をわきまえた好青年を演じ続けた切ないヒーローだった。作品として惜しむらくは、暗くなりがちなストーリーを明るくする為か、舟木の先輩小鹿番の女との下りに時間を費やし過ぎる点だ。
佐藤克巳

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