あなぐらむ

ある女子高校医の記録 失神のあなぐらむのレビュー・感想・評価

3.9
ラピュタ阿佐ヶ谷南美川洋子さん特集で。

弓削太郎二作目の登板は、修学旅行時の生徒集団失踪というタイムサスペンス。殿山泰司の教頭先生が全部持ってく高橋二三のコメディセンスが如何なく発揮された軽快な仕上り。五人娘各々のキャラも確立され楽しい。

校医の稲垣昭三は余り活躍せずシリーズが今まで採ってきた探偵モノのスタイルは後退、リレー式のオムニバスを最後でまとめる合理的な作劇はスケジュール調整の故か。南美川さんは前作までの意外な一面キャラではなく、五人のリーダー役でテキパキな美少女ぶりを発揮。

八代順子は三遊亭小円遊に弟子入りしたり(これがハマっている)、渥美マリはエスのお姉様に言い寄りGSのライブで「失神」したり、水木正子はまたも「妊娠」騒ぎと賑やか。時代風俗を背景に描かれるのは、女の子達のバイタリティと自立心なのが高橋二三脚本の良心。池野成の劇伴は控えめな印象。

弓削演出はタイトルバックからイカしていて、どんな映画でも面白く仕上げてしまう職人ぶりに唸る。
落語家やお笑いが沢山出てくるのはこの時期の邦画によく見られ、そちらでも資料価値が。
殿山泰司が負けずに作品を引っ張り、大泉滉は相変わらずカモられている(笑)