タカナリ

兄弟仁義のタカナリのレビュー・感想・評価

兄弟仁義(1966年製作の映画)
3.8
シリーズ第1弾。モノクロ作品。

時は大正時代。生き別れた母親を探して上州までやってきた、“壺振りの勝”こと貴島勝次。
そこで勝次は、鬼頭組と縄張り争いをしていた鳴子組代貸・清滝と兄弟の契りを交わすことになる。

主人公の勝次役に北島三郎。
代貸・清滝役に松方弘樹。
そして友情出演で大スターだった鶴田浩二が出演しています。
低予算であった事、北島三郎と松方弘樹がまだ若手だった事もあり、全体的に鶴田浩二に頼ったような内容になっています。

鳴子組はヤクザですが、地元住民の事を考えている良いヤクザです。困ってることがあったら相談に乗り、住民のために体張ります。
昔はこういうヤクザだったのに、今や血気盛んで「暴力団」と呼ばれてしまっているのが不思議です。
義理人情に厚いのがまた良いですよね。
心から信頼出来ます。

驚いたのが、「走れメロス」をやっていたこと。
勝次のイカサマがバレた事により、周りはすぐにケジメを付けるよう要求しますが、鳴子組親分と代貸の厚意により、生き別れた母親に会うために3日間の猶予が与えられます。3日以内に帰らなければ、親分がケジメを付けなければいけなくなります。
「走れメロス」と同じなのは全体の流れで、内容は当然違います。メロスより悲しいです。

鳴子組の器のデカさに感服しました。いくら義理人情に厚くてもここまでは普通出来ません。素晴らしい親分です。
一方この辺りでは、鬼頭組のズルさ、汚さ、卑怯さがより感じられました。男らしくないし、分かりやすく悪党でしたね。

話もアクションも結構良かったんですが、個人的にどうかと思ったのが、最後を勝次じゃないキャラに見せ場を任せてしまった事。
鳴子組を思ってやってくれてのはありがたいし、アクションも非常に良かったんですが、やはり勝次にはいて欲しかったです。
勝次が途中から出なくなったのは驚きました。頭真っ白になりました。
というか、やっぱり鬼頭組弱かったな。

続編あるみたいですが、出演者が固定になっているだけで、内容の繋がりはないみたいですね。スティーヴン・セガールの「沈黙」シリーズみたい。
それでも続編に興味がわきました。