しろくま

兄弟仁義のしろくまのレビュー・感想・評価

兄弟仁義(1966年製作の映画)
3.6
《ちょうどいい湯加減ですよ》
〝へえ~代貸は昇り龍ですかい。あっしは、降(くだ)り龍。昇り龍に降り龍。代貸とは馬が合いそうですね。さっきちょっと聞いたんですが親分のお嬢さんと一緒になるんですって?〟

北島三郎さんの名曲〝兄弟仁義〟。覚えやすい歌詞とメロディラインなので、子どもの頃によく口ずさんでいたけど、まさか任侠の世界の歌だったとは…。そして、吉永小百合さんや橋幸夫さんたちの日活・青春歌謡映画の向こうを張って、東映がこの歌の世界観を描く映画を北島三郎さん主演で作っていたなんて。それも8作も続く人気シリーズって凄いね。

義兄弟を演じるのは代貸(親分の次のポジション)の松方弘樹さんで、二人が出会うのは鳴子組の風呂場。同じ絵柄の入れ墨をした者同士って〝服かぶり〟みたいに気まずいのかと思ったら、入れ墨の龍が微妙に違うみたいで、昇り龍に降り龍って言っていたけど…。北島三郎さんの降り龍って運気が下がりそうだけどどうなの?映画では触れていなかったので調べてみたら「天から地上に降りようとする龍」で降臨するということは、運気を手中にする強運ってことになるのかな。神社の鳥居に刻まれた神域を守護する昇り龍・降り龍は一対になっていることが多いってことだから、義兄弟にふさわしい刺青ってことね。

鳴子組の親分は大御所・村田英雄さん。北島三郎さんも村田英雄さんも演技が上手でびっくり。〝俺たち極道者は堅気さんに迷惑を掛けちゃいけねえ。堅気さんのためなら命までも張らなきゃならねえ〟っていう鳴子組に対して、鬼頭組の極悪ぶりときたら…。ということで、2つの組の抗争&北島三郎さんと松方弘樹さんの熱い絆が描かれていて、まさに〝東映・任侠歌謡映画〟の傑作だね。

視聴メモ:2023.11.17/171/東映シアターオンライン
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