メル

イノセントのメルのレビュー・感想・評価

イノセント(1975年製作の映画)
3.9
ルキノ・ヴィスコンティの得意とするイタリア貴族の華やかな衣装と豪華絢爛な画面。

無神論を声高に唱え、快楽主義で身勝手な男。
自分は愛人に夢中になっているのに、妻が恋人を作れば忽ち嫉妬の鬼と化して、愛人そっちのけで妻の気を引こうとする。

しかし、妻が恋人の子を宿したことが決定的な溝となり…。

常に自分の自由と支配欲だけで生きてきた男は、思い通りにならない現実に妥協出来なかったのでしょう。

悪い言い方をすれば、単純な男より女たちは強かに現実を生きていくのです。

「滅びの美」を描かせたら超一流のヴィスコンティ。遺作とは思えない程に官能的でエネルギーに溢れてます。
作品も監督にとっても美しい幕切れではないでしょうか。
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