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女は二度生まれるのkojikojiのレビュー・感想・評価

女は二度生まれる(1961年製作の映画)
3.5
1961年 監督は川島雄三 原作は富田常雄
 映画はジャケのイメージとは違った。

 若尾文子が、天真爛漫なイメージに鼻にかかる独特の声と艶ややかな身のこなし、そしてよく似合う着物姿でなんとも言えない魅力を作り出している。
 そう言う意味では、ぴったりの役柄だ。女優「若尾文子」が存分に堪能できる。35種の衣装を身にまとっているそうだか、どの着物もよく似合っていて、これだけでも若尾文子ファンなら必見の映画だ。

 芸なし芸者・小えん(若尾文子)は、本能の赴くままに行動する天衣無縫の性格。男相手に商売を続ける彼女は、ある日、道中ですれ違った大学生・牧(藤牧潤)に恋心を持つが、同時にさまざまの男たちと交渉を持ち続ける。その中の一人、建築家筒井(山村聰)から世話を受けることになるが、半年もしないうちに彼は突然死んでしまい、再び芸者に戻ることになる。

 小えんの成長の物語。題名「女は二度生まれる」はU-nextの解説では「はじめは女として、二度目は人間として生まれる」とある。

 この映画、川島雄三の大映初監督作品で、最高傑作の一つに挙げられるそうだ。
 前半、川島監督はさまざまな男に身を任せる小えんの何が描きたいのだろうと不思議な気持ちで観ていた。
 しかし、男との交流の中で、少しずつ変わっていく姿にだんだん引き込まれて、何も自分の言葉を発しなかった小えんが、次第に自己主張し出すと、顔つきまで変わっていく姿に魅了されて行く。若尾文子がこの変化を見事に演じている。

 川島監督はこの映画で、「若尾文子を女にしてみせる」と豪語したそうだが、それだけのことはある。

 2022.11.15視聴-506
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