2023年12月21日記す。3年前に「若尾文子映画祭」で見て以来の再見。川島雄三監督の若尾文子主演作品では「しとやかな獣」を最良と考えていたが「映画祭」時に考えを改めた。本作こそが陽キャラの若尾文子作品の最高傑作だろう。芸者小えんの、山村聰フランキー堺山茶花究上田吉二郎などの男性遍歴を、くどくならない人物の出入りをもって軽やかに描きながら、女であることのよるべなさをさらりと挿し込む脚本がよい。心象風景として狭い路地を歩く若尾文子の縦の構図のカメラも素晴らしい。99分の尺もこれ以上でも以下でもなくちょうどよい。そして何より若尾文子が美しい。
