コーカサス

縛り首の木のコーカサスのレビュー・感想・評価

縛り首の木(1959年製作の映画)
3.6
“映画史上、最も美しい縛り首の木”

ゴールドラッシュに沸く街にやって来た医師ジョー (クーパー)は、金を盗んで撃たれた若者ルーン (ピアッツァ)を救い、治療費の代わりに使用人として雇う。
ルーンは、過去を一切明かさぬジョーを不信に思うが、ある日強盗に襲われた女性エリザベス (シェル)が運び込まれると次第にジョーの過去が明らかにされる。

金に目が眩んだ人間の欲望や醜さを鋭くえぐり、ゲーリー・クーパー演じるひとりの医師が、時に神のように崇められ、時に悪魔のように虐げられる恐ろしさや不条理を描いた硬派な人間ドラマだ。

個人的な話になるが、実は本作を観賞するのは、2003年以来二度目となる。
初見は若かったこともあり「命より尊いものはない」と感動したものだが、こうして久しぶりに観てみると「金(マネー)で愛は買えずとも、金(ゴールド)で命は救える」という少々下衆な感想を抱く自分がいた。
18年という歳月が筆者を大人にしたのか?ちょっぴり複雑な気もするが、こうして観る年齢によって異なる感想を抱くのもまた映画である。

とはいえ、“縛り首の木”をこれほど美しく画にした映画は他にない。
その感動は今も変わらなかった。

47 2021 #35/2003/8/17