たにたに

ラブ・アクチュアリーのたにたにのレビュー・感想・評価

ラブ・アクチュアリー(2003年製作の映画)
4.1
【愛って実は身近にあるんだよ】2023年3本目

愛の群像劇。
空港で抱き合うたくさんの人々。
家族、親友、恋人など様々。
そこには物語が織りなすたくさんの愛が溢れているのだ。

相関図を書くと、何かしらで繋がってる登場人物たち。
みな個性があって、非常に豊かな人生を送っている。
ローワン・アトキンソンだけ独立しており、登場は少ないものの良い味わいを生んでいる。ギフト梱包の丁寧さは素晴らしき顧客視点。そして最後の空港ではナイスパス。彼は、見えないその先の誰かの元へ愛を送っている。興味深い。


この映画の良いところは、心動かされるシーンがたくさんあること。
"愛への気付き"と"愛の告白"が見事に演出されているのである。
そして、それはつぶさに役者の演技の賜物である。


ジェイミー(コリンファース)の痛心旅行先で出会った、国籍の違いによる言葉が通じない女性。彼の執筆した小説が風で飛ばされ湖に。彼女は急いで服を脱ぎ、躊躇なく真冬の水に飛び込む。
彼女のその勇姿に、見惚れ、そして自らも飛び込んでいく。彼はジェイミーへの愛に気付いた。

親友と結婚した女性(キーラ・ナイトレイ)が気になるマーク(アンドリュー・リンカーン)。気付かれまいと冷たく接するも、突然の彼女の訪問で結婚式のビデオを借りにくる。しかし、そのビデオには彼女の綺麗な姿ばかりが映される。彼女はマークからの愛に気付いた。

英国首相のデイヴィッド(ヒューグラント)は新人の給仕係ナタリーが気になる。まるで自分の欲しいものを彼女は知っているかのように気が利く。1人のクリスマスに送られてきたメッセージ。彼はナタリーへの愛に気付いた。

サラ(ローラ・リニー)は同じ職場のカールに長年思いを寄せている。カールは愛に気付いていた。ベッドで体を寄せ合うと、タイミング悪くかかってくる電話。精神的マイノリティを持つ弟からの毎日の電話だ。彼女は、自分とカールのことでなく、たった1人の弟への愛に気付いた。

妻を失ったダニエル(リーアム・ニーソン)は息子のサムと2人きり。義父である彼は息子との関わり方に思い悩む。そんな折、サムが恋をしていることを知り、応援する立ち場に。ダニエルはサムの愛に気付き、そしてその愛が彼らを本当の家族にした。

ハリーは(アラン・リックマン)は妻カレン(エマ・トンプソン)と子供達たちと幸せな家庭を築いている。彼は職場のミアから猛烈なアプローチを受け心を動かされる。カレンは彼からのクリスマスプレゼントで浮気を確信する。ジョニミッチェルの「Both Sides Now」を涙しながら聞く。コーダで使用された曲ですね。彼女は涙を堪え、知らないをふりをしてクリスマスを迎えた。彼女は家族の愛と、それでも絶えない夫への愛に気付いた。

ビルはクリスマスに自分の曲をリメイクして新たにリリース。世間からの評判は気にしないその口ぶりはマネージャーであるジョーを悩ませる。クリスマスに誰と過ごしたいか?ビルは支えてくれている影の存在への愛に気付く。

セックスシーンのスタンドインをする2人。カメラテストとは言え密着させる2人の姿は滑稽であるが、仕事仲間から恋人への感覚に満ちていく。2人は互いの愛に気付いた。

不モテなコリンは夢を持って渡米。英国では皆んなに無視される彼だが、アメリカでは英国人の自分はモテる!と自信満々。訪れたバーで美女たちを次から次へと落としていく。彼は自分への行動力と自信で、愛を身近な物にしていく。




そして、これら全ての"気付きの愛"は、それぞれの勇気ある"告白"によって結ばれていく。

素晴らしいクリスマス映画。
素晴らしい愛の物語。
たにたに

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